水道配水用ポリエチレン管は、設計内圧1.0MPa(使用圧力0.75MPa に水撃圧 0.75MPa を見込む)で使用し続けた場合、50年後の安全率が2となるように管厚設計しています。
外圧に対する検討は、埋設ボックス実験及び埋設下における路面荷重の影響確認実験による検討結果から、設計内圧を考慮すれば埋設管として十分使用できることがわかりました。
1.内圧に対する検討
管厚の設計は、国際規格ISO 161-1 「流体輸送用熱可塑性プラスチック管公称外径と公称圧力 第1部」によって計算します。
または、
ここで、
P :内圧
t :管の最小厚さ
σ :材料の設計応力=MRS/S
D :管の基準外径
MRS :材料の長期静水圧強度(Minmum Required Strength)
S :安全率
SDR :基準外径と最小厚さの比(Standard Dimesion Ratio)=D/t
※最小要求強度MRSは、管が20℃で50年以上耐えうる周方向応力であり、
水道配水用ポリエチレン管の最小要求強度は10MPa以上となり、PE100に分類される。
最小厚さ及びSDRは式②に以下の設計条件を代入するとSDR = D / t = 11 となり、
この値に基づいて水道配水用ポリエチレン管の厚さを 口径毎に設計する。
設計水圧:P=1.0MPa
安全率:S=2
材料の設計応力σ=MRS/S=10/2=5MPa
2.外圧に対する検討
内圧に対し求めた設計管厚を用いて、外圧によって発生するたわみと曲げ応力を日本水道協会 水道施設設計指針・解説による硬質ポリ塩化ビニル管の管厚計算式に準じ計算して検討しました。
(1)たわみ
とう性管のたわみの許容値は、主に水理検討や舗装面への影響から、一般に管外径の5%以下とされています。発生たわみの計算値はこの許容値以下となります。
(2) 曲げ応力
日本水道協会 水道施設設計指針・解説によれば、硬質ポリ塩化ビニル管(口径 75 ㎜~口径 150 ㎜)及び鋼管では、内圧による引張応力と外圧による曲げ応力を合成せず、それぞれに対して安全性を評価する内外圧分離式を採用しています。
水道配水用ポリエチレン管は、硬質ポリ塩化ビニル管と同じとう性管に分類されるため、発生曲げ応力の計算値を単独で評価すると、いずれも材料 の設計応力以下となります。